【聖光4強・飛躍の夏(5)】選手支えた地域の輪 応援が原動力

聖光学院の甲子園4強進出という快挙には、球児らの活躍を陰ながら支援する地域社会の後押しも欠かせなかった。
大会を終えてナインが学校に戻った22日、聖光学院高に近いスーパー「ファンズ伊達店」内には「英雄達よおかえりなさい 感動をありがとう」の言葉とともに、健闘をたたえるディスプレーが置かれた。店には大半が寮生活を送る野球部員がよく食材を買いに訪れる。「(部員らは)いつも元気にあいさつしてくれるし、冬場には駐車場の雪かきも手伝ってくれる」と那須野満店長(45)。甲子園での躍進に「これからも応援したい」と喜ぶ。
同校の野球部員は、冬場に学校周辺の高齢者宅などで雪かきを手伝うなど地域との交流を続ける。甲子園常連校となった同校には、「聖光で野球がしたい」と親元を遠く離れ、縁もゆかりもない県内にやってくる部員も多い。同校で教務部長を務める小嶋秀彦教諭(48)は「新型コロナの影響で練習などが長期間制限されながらも野球に集中できたのは、地元の応援やバックアップ体制があったからこそ」とした上で、地域との交流や地域からの応援への感謝の思いが「選手たちの原動力になっているのでは」と指摘する。
20日の準決勝では、地元の伊達市役所で初めてのパブリックビューイングが行われた。準々決勝前後に市が準備を始め、市民に告知できたのは前日の19日昼。急な告知にもかかわらず、当日は会議室の大型スクリーン前に百人近い市民らが詰めかけ、準決勝を戦う聖光ナインにエールを送った。
また、同校は今回初めて野球部の交通・宿泊費や練習経費への支援を募るクラウドファンディングを実施した。今月末が期限となっているものの、25日現在で約220人から約156万円の支援が寄せられている。「勝利を重ねるごとに支援が増えて驚いている」と同校。地域以外にも大きな支援の輪が広がり始めている。試合の度に「感謝」という言葉を口にしてきた聖光ナイン。大舞台で多くの支えを力に変えた。
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