【聖光4強・飛躍の夏(3)】堅守こだわった球際 打撃は基礎徹底

準々決勝の九州学院戦。1点を追う1回1死二、三塁の好機に聖光学院の4番三好元気(2年)がたたいた打球が左翼線を襲った。「無心で思い切りバットを振った」。そう振り返る一打は逆転の2点適時二塁打に。下位打線も続き、計5点のビッグイニングとなった。7回には中堅手安田淳平(3年)が左中間に抜けそうな打球をスライディングで捕球。反撃の芽を摘み、10―5で打撃戦を制した。こうしたプレーに象徴されるように、甲子園の観客を沸かせた強打と堅守が初の4強進出の原動力となった。
本塁打3本を含む15本の長打、3試合で無失策―。聖光学院の全5試合で目立った打撃と守りの記録だ。
このうち、強打の背景には、昨秋の悔しい結果があった。秋季県大会と東北大会を合わせた10試合のチーム打率は2割6分6厘。5点以上取ったのは半分の5試合で、そのうち2桁得点は東北大会準々決勝の1試合のみだった。
こうした状況に、選抜高校野球大会への出場が決まったチームが冬に掲げたのは「打撃力の向上」。食事量を増やし、ウエートトレーニングで体をつくりながらティー打撃など基礎練習を徹底した。捕手の山浅龍之介(3年)は秋の東北大会終了後から体重が12キロ増加した。「打撃のことを考えないのは学校の授業中くらい」と安田。心身ともに力強さを増し、相手から警戒されるほどの重量打線に生まれ変わった。
一方、鉄壁の守りについて、この夏、福島大会から無失策を続けた生田目陽(はる)(同)は「球際の強さを意識して練習に取り組んできた」と胸を張る。元々守備に定評があり、守りからリズムをつくるチームだったが、そこに「球際」へのこだわりが加わった。グラブにボールが入る瞬間まで気持ちを切らさず、キャッチボールから丁寧に―。心がけてきたこうした思いが、大舞台でチームを支えた粘り強い守りを完成させた。
強打と堅守をさらなる進化につなげられるか。「ここぞ」の場面での勝負強さが、日本一への条件になりそうだ。
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