【首長に聞く】飯舘村長・杉岡誠氏 営農再開後押し、後世へ伝承

飯舘村は、東京電力福島第1原発事故による避難指示が2017年3月末に大半の地域で解除された。残る帰還困難区域の長泥地区では大型連休ごろに特定復興再生拠点区域(復興拠点)の解除が予定され、村の復興は新たなステージに入る。杉岡誠村長は「『村民の今を支える』『村の将来への布石』という二つの力点、視点を持って復興を前進させたい」と力を込める。
―復興の進み具合は。
「昨年は訪問診療と移動販売の開始、震災後初めて村内での村産牛肉の対面販売など村の復興に一石を投じる動きが多々あった。加えて、地域おこし協力隊など移住者らによる起業の動きも活発化している。こうした明るい話題を広く発信し、元の状態に戻す復興ではなく、以前よりも発展した状態にする本当の意味での復興を実現させたい」
―長泥地区の復興拠点の再生をどう進めていくか。
「避難指示解除は最終目標ではなく、通過点と捉えている。長泥地区の再生に向けた動きは既に見えており、一例が昨年10月に開かれた植樹祭だ。住民とボランティア合わせて約100人が参加し、長泥地区の再生、発展に向けた機運が盛り上がった。こうした空気感が大切だ。復興拠点に整備される集会所も重要な施設となる。住民が気軽に集って長泥地区の将来を語り合うなど、住民主体の地域づくりを後押ししていきたい」
―村政運営の展望は。
「避難指示解除から6年となる今、帰還施策は『新たに住み直す』という段階にある。新たな人生をスタートする場所として村が選ばれるよう、幸せな暮らしの実現に向けた復興施策を展開する。基幹産業の農業については、営農再開を後押しし、農業のやりがいや伝統も含めて再生させ、後世へと伝承することが村の復興にもつながるはずだ」
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