【首長に聞く】川内村長・遠藤雄幸氏 生きがい持ち暮らせる村に

川内村は、東京電力福島第1原発事故による避難を経て2012年1月にいち早く「帰村宣言」し、住民の帰還率は8割を超えている。現在は人口減少を抑えるための総合戦略を策定し、企業誘致などに力を注ぐ。遠藤雄幸村長は「村民の協力を得て、みんなが生きがいを持って暮らせる村をつくっていく」と話す。
―村の現状をどのように捉えているか。
「いつまでも被災地と甘んじるわけにはいかない。村の資源である環境と経済が共存できる村づくりを進め、地域でヒト、モノ、カネが回るようにしたい。住民と移住者が協力できる環境も大切だ。新年度から役場新庁舎整備の動きも本格化する。住民が集える新たな交流の場にしたい」
―1次産業を中心とした新産業の創出にはどのように取り組んでいくのか。
「ワインの醸造が柱となる。ワイナリーの開設から1年となるが、多くの売り上げがあった。ブドウの苗木を2万本まで増やし、生産量を拡大する。ワインを飲みながら食事ができる場所の整備も前向きに考えたい。生食用ブドウなど震災後に栽培が始まった産業も成長してきた。コメの作付けも約8割まで回復した。今後は担い手の育成や作業の効率化にも力を入れる」
―ひとり親や子育て世帯を中心に移住定住を促進してきた。今後の取り組みは。
「国道399号十文字バイパスが開通し、いわき市とのつながりがより強くなった。生活が便利になっただけではなく、いわき方面からの観光客も増えた。国道を軸に、近隣自治体とも連携して食を通じたイベントを開催していく。人を呼び込む施策も大切だが、今いる住民が楽しく生活できないと移住定住にはつながらない。村民一人一人が望むことを把握し、誰一人取り残さない村政に取り組む」
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