【首長に聞く】楢葉町長・松本幸英氏 合宿誘致、スポーツで人流を

楢葉町は、東京電力福島第1原発事故による避難指示解除から7年半を経てハード面の復興がおおむね完了し、移住定住の促進などに力を入れる。松本幸英町長は「交流から生まれるつながりから楢葉のファンを増やしたい」と述べ、まちづくり会社「ならはみらい」との連携による交流人口の拡大に期待感を示す。
―町の復興の現状をどう見ている。
「県道広野小高線(浜街道)の延伸や岩沢海水浴場の再開などハード面の整備が進んだ。さらに教育、農業再生、健康増進を軸に町政を展開してきたが、現状で町民の帰還率は6割。ならはみらいを軸とした若手の呼び込みに力を注ぐ考えだ。海水浴場や天神岬、ここなら笑店(しょうてん)街などを結び付けた魅力づくりも進める」
―交流人口の拡大に向けた取り組みは。
「Jヴィレッジでの固定開催が決まった全国高校総体(インターハイ)のサッカー男子は、一部試合が町総合グラウンドの陸上競技場で行われる。これに合わせ、人工芝に改修して環境を整える。合宿の誘致にも力を入れ、スポーツの面から人の流れを増やしたい。また、町の自然を生かした体験型イベントを通して仕事や住まい、余暇の充実を軸に多様な働き方を受け入れ、移住者の定着を目指す」
―新産業の創出などを通じた地域再生は。
「楢葉、富岡両町の各種団体が連携し、廃炉関係の幅広い業務を地元企業が受注するための事業協同組合が新年度発足する。今春には農作物の加工施設が稼働する。サツマイモを中心に消費者ニーズに合わせた加工品を開発し、食品メーカーの福島しろはとファームと連携しながら一大産地化を図る。町の新産業創造室を産業創生課に格上げし、企業誘致や産業創出による安定的な雇用の確保に努める」
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