【首長に聞く】富岡町長・山本育男氏 にぎわい生むきっかけ重要

富岡町は、東京電力福島第1原発事故による帰還困難区域のうち、夜の森地区を中心とした特定復興再生拠点区域(復興拠点)で4月上旬までの避難指示解除を目指している。山本育男町長は「町内全域の復興再生に向けた次の一歩となる。住民と共にまちづくりを加速させたい」と話す。
―復興の現状をどのようにみているか。
「約6年前に避難指示が解除された中心部では居住者が2000人を超え、子どもたちの声も聞かれるなど町内に活気が戻ってきた。ただ、書店や学習塾などがなく、生活をより豊かにするための環境整備は途上にある。子育て世帯が住みやすいよう取り組みを充実させ、復興のステージを引き上げたい」
―復興拠点の再生にはどのように取り組むか。
「帰還を進めるには、にぎわいを生むきっかけづくりが重要だ。その核となるのが、夜の森地区にあった温浴施設の復活と考えている。買い物もできる施設となるよう新年度に基本計画を作るなどして対応を急ぐ。町営団地や消防屯所の整備に加え、国道6号沿いへの飲食店の誘致にも力を入れたい。一方、復興拠点から外れている小良ケ浜、深谷両地区については、住民の高齢化も進んでいる。引き続き政府に対し、避難指示の早期全面解除を求めていく」
―産業創出への方針は。
「農業の育成が柱だ。富岡産業団地に新設する野菜のカット工場を軸に、付加価値の高いタマネギなどの産地づくりを広域的に進めていく。併せて、園芸品目の栽培実績がある農業法人の誘致や農産物の販路開拓にも取り組み、意欲ある農業者の営農再開や帰還率の向上につなげていきたい。福島国際研究教育機構の設立に伴い発展が期待されるさまざまな新産業の誘致にも積極的に取り組んでいく」
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