【首長に聞く】浪江町長・吉田栄光氏 解除の3地区民間投資促す

浪江町は、東京電力福島第1原発事故による避難指示がJR浪江駅周辺を含む中心部で2017年3月末に解除され、今月31日には特定復興再生拠点区域(復興拠点)でも解除を迎える。吉田栄光町長は「民間投資を活発化させ、復興を前に進めたい」と語る。
―復興拠点の避難指示が31日に解除される。
「浪江は帰還困難区域の面積が最も広く、町の8割を占める。復興拠点の室原、末森・大堀、津島の3地区の避難指示解除は帰還困難区域の復興の方向性を大きく左右する。農業が主たる地域で、大堀相馬焼や津島の歴史など残すべき伝統と文化がある。3地区の特徴を生かし、民間が投資しやすい環境を整えたい」
―避難指示解除から6年を迎える中心部の復興は。
「浪江の復興は東から西へと進んでいる。産業団地への企業進出が進み、子どもの数も増えている。次は浪江駅周辺の再開発だ。商業や交流の場など浪江の『新しい顔』となる駅前の姿があと3年で目に見えてくる。町内への立地が決まった福島国際研究教育機構(F―REI=エフレイ)も加え、復興の核となるエンジンが動きだそうとしている」
―4月に設立されるエフレイに期待することは。
「私が考えるエフレイの波及効果とは、いわゆる箱物的に地域や経済に影響を及ぼすものではない。国内外の優秀な研究者が集まり、世界的に競争力のある研究開発と成果の実用化を進めることで、民間投資によって世界に広げていくことだ。それは震災でお世話になった国民の皆さんへの恩返しにもなる。ある意味、研究の中身を波及させる仕組み作りこそがエフレイの使命かもしれない。エフレイは浪江だけのものではない。相双地域で研究者のより良い衣食住を支え、地域の暮らしや消費を変化させていくだろう」
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