運転の97歳逮捕 福島・6人死傷事故、歩道を数十メートル走行か

 
事故から一夜が明けた現場。犠牲者をしのんで花も手向けられていた=20日午後、福島市南矢野目

 福島市南矢野目字西荒田の市道で19日に起きた交通死亡事故で、福島北署は20日午前3時15分ごろ、自動車運転処罰法違反(過失致死)の疑いで、軽乗用車を運転していた同市北沢又字樋越北の男(97)を逮捕した。同署によると、現場にブレーキ痕はなく、軽乗用車は事故直前に歩道を数十メートルにわたって走行したとみられるという。

 男の逮捕容疑は、19日午後4時45分ごろ、同市南矢野目字西荒田の市道で、同市八島田字八幡北の調理員の女性(42)を軽乗用車ではね、死亡させた疑い。同署は男の認否を明らかにしていない。

 同署によると、事故現場周辺の聞き込みや目撃者情報、ドライブレコーダーの分析などから、男は数十メートル前の車道から歩道へ進入。そのまま車を走らせて事故を起こした可能性があるという。

 現場は見通しの良い片側1車線の直線道路。男は運転免許更新時の認知機能検査で問題はなかったという。

 後方で突然「バーン」

 事故から一夜、現場には街路樹2本がなぎ倒されたような跡があり、事故の衝撃を物語っていた。

 「すごいスピードで車が突っ込んできた。何が起きたんだろうという気持ち」。事故に巻き込まれた50代女性は、一瞬で起こった事故を振り返る。

 当時、信号待ちしていた4台の車のうち、女性の車は3台目。後方で突然「バーン」という大きな衝撃音が聞こえたのと同時に、左側の歩道を横切る軽乗用車が見えた。軽乗用車は女性の車にぶつかりながら街路樹をなぎ倒して停車し、男が降りてきてその場に座り込んだという。女性にけがはなく、男については「ぼうぜんとしていた」と話した。

 信号待ちの車列の先頭にいた車の男性(18)は、はねられて倒れた女性を見てすぐにAED(自動体外式除細動器)を探し回ったという。「女性は小学生ぐらいの娘さんと一緒だったようで、周りの人が『大丈夫、大丈夫』と励ましていた」と当時の状況を語った。

 1人暮らし、車で買い出し...近所の人「ゆっくり安全運転だった」

 男は事故現場から直線距離で約700メートル離れた一軒家に1人で暮らしていた。

 近所の住民によると、男はほぼ毎日車を運転し、食品の買い出しなどに出かけていたという。「スピードは出さないでゆっくり過ぎるぐらい安全運転だった」と話す。

 別の近隣住民によると、今年に入って車を乗り換えていたが、前の車にはどこかにぶつけたような傷がいくつかあり、駐車に苦戦している様子もあったという。ある住民は「年齢も高かったので、運転操作を間違えてしまったのだろうか」と胸を痛めていた。